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2011年8月14日日曜日

お客様からのお便り TRICERATOPS(トライセラトップス)和田唱 様 JBL L100 修理依頼

TRICERATOPS

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トライセラトップスの和田 唱様より、JBL L100 CENTURYや、McIntosh MA6100の修理後依頼を頂きました。修理完了後に和田唱様より頂いたコメントをご紹介します。

【お客様のコメント】

スピーカーと豊かな人生 

僕が70年代のオーディオ機材に興味を持ち始めたのは5年ほど前。昔から自分と同時代の音楽よりも、自分が生まれる以前の洋楽ロックやジャズを好んで聴いてきた。そんな事もあり、それなりにアナログ盤も買い集めてはいた。理由は「CDの時代になる前の音源はレコードで聴いた方が正しいはずだ!」と思ったから。更にある時気が付いた。ってことはアンプやスピーカーも当時の物で聴いた方がより一層正しい(楽しい?)はずだ!

そして、往年のオーディオに明るいうちの事務所の社長にいろいろ聞いてはインターネットで調べ、オークションで低価格のプリメインアンプ等を買い集めるようになった。スピーカーだけは海外のものの方がより「らしい」音がすると聞いた。そんな僕が手に入れたスピーカー、それが英国TANNOYの"EATON"と今回の主役、JBLの"L-100 CENTURY"である。

このL-100 CENTURYは僕が唯一、eBay(海外のオークションサイト)でアメリカ人の方から落札し、空輸されてきたオーディオ機材だ。それはそれはドでかい段ボール箱に梱包されて届いたので、ゴミ(?)の片付けが大変だった!(笑)

JBLの中では小型な部類に入るこのスピーカーも、部屋の中に置くと結構でかい。でも何がいいって、まずこのデザインである。家具と一体化してまるでインテリアのようだ。もうオーディオのデザインに関しては絶対70年代半ばまでに限る!!と言い切ってしまおう。(僕はですよ!)そしてその場合、大体中身も比例するのである。

このスピーカーから出てくるサウンドはあったかく、且つレンジも広くて、古いジャズのLPはもちろん、CDで聴く最新のロックやR&Bまで気持ちよく鳴らしてくれることが分かった。そう、僕はCDもこの"CENTURY"で鳴らしているのだが、(CD自体の登場はこのスピーカーの発売より10年ちょっと後のこと)全然OKというか、むしろ良いのだ。歳食ってる分「鳴らし方」を知ってるんですかね?(笑)なにより自分より若いバンドの新譜が自分より年上のこのスピーカーから鳴ってる時のミクスチャー感覚が僕は大好きだ。

もちろんレコードで聴く50年代のジャズは、この時代のJBLスピーカーの独壇場という感じ。ウッドベースがボンボン響いてホント気持ちいい。僕の一番のリラックスタイムだ。この時代のジャズが後年のロックより音が良い事なんてざらで、その事実がこのスピーカーだと手に取るように分かってしまうのだ。

しかし音楽狂ではあっても、いたってオーディオ音痴な僕である。70年代初頭に発売されたこのスピーカーが果たしてちゃんとメンテナンスされている状態なのか、はたまた劣化していて本来の性能を出し切れていない状態なのか、知る術も無かった。なんとなく大丈夫だよなぁ?とは思っていたものの、いかんせん古いものだし、誰かその道のプロフェッショナルに見てもらいたかった。

でも誰に見てもらえばいいのかよく分からず5年近く経ち・・・

そんな先日である。インターネットでいろいろ調べるうち、ケンリックサウンドさんの名前を発見!「俺のCENTURYをここに持って行って見てもらおう!」すぐそう閃いた僕は、ヨイショと二つの重いスピーカーをマンションの部屋から車へと運び、気がつくとケンリックさんのショールームにいた。

そこで出会ったのが技術担当の河内さんはじめ、スタッフの皆さん。お若いスタッフ中心のショップの中で一人、ロマンスグレーでご年配(!)の河内さんがチームの一員としていらっしゃるその感じは、正に僕の好きなミクスチャー感覚である!!そんな確かなキャリアを持つ河内さんをチームの一員にされた、代表の細井さんの判断はとてもカッコいいなと僕は思う。

そんなわけで僕のCENTURYを河内さんに見て頂いた。やはりというか、アッテネーター(その日に知った言葉ですが 笑)がダメになっていた。ツマミを回すとガリも酷かった。僕が望んだのは本来の音色や雰囲気を変えずに、出音のみを若返らせる、というか正常にしていただく事だった。僕はビンテージ品の「汚れ」を愛するタチなので、キャビネットのクリーニングやウーファーのホワイトニングはお願いしていない。結果手を加えたポイントは、アッテネーターと後ろのスピーカーケーブルを繋ぐターミナルの交換だ。もちろん音量や全体のチェックもして頂いた。「問題ナシ」の状態になった僕のCENTURYは、スピーカー本来の風合いやサウンドはそのままに、グッと元気になってウチに帰ってきた。

そしてもう一つ!今回修理とは別に購入したものがある。CENTURY専用の復刻版グリルだ!CENTURYといえばまず目を引くのが、いかにも70年代らしいチョコレートのような洒落たデザインのグリルだ。僕のには元々ブラックのグリルが着いていた。しかし!なんとこのグリル、オリジナルではなかった!ケンリックさんに最近入荷したというデッドストックのオリジナル木枠付きグリルと比べたら一目瞭然だった。それになんのことはない。オリジナルにブラックは存在しないのだ。(オリジナルはオレンジ、ブラウン、ブルー)恐らくアメリカ人のオーナーがスポンジで出来た黒の防音シートか何かを切り取って木枠に貼り付けたのだろう。まぁこれはこれでよく出来てはいるのだが、本物の美しさの前では、どう見たってお粗末な代物だった(笑)

当然僕はそのデッドストックの木枠付きグリルの購入を考えたのだが、残念な事に当時のモノは個体差があるのだろう、僕のスピーカーには若干ハマりが悪かったのである。ガッカリする僕に代表細井さんの救いの言葉、「一ヶ月後にレプリカのグリルなら入荷しますよ。」それだ!と瞬時に決めた僕は、防音シート?(笑)が付いてる元々の木枠にそのレプリカ・グリルを貼っていただく事に!当然、接着剤でベットリくっ付いてるスポンジ材をキレイに剥がすのは並大抵の事ではない。本当に感謝です。ちなみに僕が選んだレプリカ・グリルはブラウン!まさにチョコレート感満載で、部屋の家具とマッチして最高なのである。オーディオは絶対インテリアの一部でもあるべきだ。と僕は思う。

最後に。PCまたはイヤホンでしか音楽を聴かない人が増えた現在だからこそ、僕が声を大にして言いたい事。それは良いスピーカーで音楽を聴くと・・「気持ちいい!」の度合いが違うってこと。もちろん部屋の事情とか近所迷惑とかあるでしょう。(僕もです)だとしても、そこそこ大きなスピーカーで音楽に接すると(お昼だけ使うとか防音するとか・・)体は動くし、それまで聞こえなかった音も聞こえてくる。何より本来のCDやレコードの聴き方って「体感」することだと思う。そもそも生の楽器や歌声だって、前方から空間の中を立体的にこっちに向かってくるもの。それがイヤホンではベクトルが変わってしまう。だから確実に、音楽は「体感」した方が正しい。そして楽しい。

もちろん安い買い物じゃない。でも10万円あれば、良いスピーカーって買える。(実際の僕のCENTURYはそんなにしていない。)本当に音楽好きな方なら飲み代の10万円、愛車に使う10万円、彼女へプレゼントするアクセサリーの10万、(う~ん・・これは大事か 笑)をちょっと我慢してスピーカーを買いましょう!!絶対あなたの人生を豊かにするから!JBLのオールド・スピーカーがそのための最高の仲間であることは間違いない。

この度、僕の豊かな人生へ関わって頂いたケンリックサウンドの皆さんに感謝です。皆さんの、古き良きものを残し、且つ新しい技術や要素を合体させて現在(いま)に伝えるその姿勢にとても共感します。僕の音楽への取り組み方も全くもって同じです。

和田唱(TRICERATOPS)


【ケンリックサウンドからのコメント】

修理のご依頼を和田様から頂いたときに、ぜひこのブログでコメントをご紹介したいとご相談したところ、ご多忙であることと、やはり立場上、一個人としては容易に意見できないということで、当初遠慮されました。

しかし、どうしてもお願いしたい意図があったため、私の真意をお伝えしたところ、大変協力的に反応してもらえました。

難しいコメントやひいき目の評価をもらおうということではなく、あくまでもJBLの一ユーザーとして、こんなに風にヴィンテージを愉しんでいるというざっくばらんな雰囲気をご紹介したいという気持ちがありました。

もう一つ大きな目的。それは今、オーディオ離れしている若い世代に少しでもこの「古き良き素晴らしいスピーカーたち」を啓蒙したいということ。それには私や和田様のような30歳代(もうそんなに若くはありませんが、商品の主たる購買年齢層に比すれば若い!)が自発的に情報を広めなくてはならないと感じています。

iPod?インナーヘッドホン?いや、音楽を聴くモノはそれだけじゃない、JBLモニタースピーカーがあるじゃないか!空間に熱く放たれる音楽と対峙しようよ!と、和田様に呼びかけました。その結果、上記の内容の濃いコメントをお寄せ頂きました。

忙しいライブツアーの合間を縫っての御協力有難うございました。今後ともよろしくお願いします。