【お客様のコメント】
ケンリックサウンド 細井代表 杉山様
お世話になりました。川嶋です。感想文を送付させていただきます。
10数年愛用のJBL S143を納品していただいてから6週間が過ぎました。
週末だけですが、音を出すのが楽しくて、聴きなれたCDをとっかえひっかえ聴き込みました。結果の感想は、SN比が良くなり、分解能が上がり、レンジが広く、定位が良くなりました。こう書くと決まりきった褒め言葉でリアリティーがありませんね。
元々は片側のツイータ―が鳴らなくなったために修理をお願いしたところ、チューンナップのご提案を頂いたので、それもやってみようという事になりました。
私のスピーカーはスタジオモニター系ではない一般家庭用スピーカー故、チューンナップの成果を得られるか大変不安でした。ケンリック様にもご苦労と色々試な行錯誤をして頂き、大変に良い仕上りとなり感謝しております。
私は音楽を官能的に聴くので、分析的な表現を上手に出来ないのですが、頑張ってどう変わったのかを報告させていただきます。
鳴らなかったツイータ―は快調に鳴り、当然ですが定位がびしっと決まるようになりました。ネットワークにも手を入れて頂いたので、耳に刺さるほどの高音です。※決して耳障りということはなく「エネルギー感溢れる」という意味の褒め言葉です。SN比も大幅にアップしていると感じます。
低域はエッジ交換、内部配線交換の効果か100Hz近辺の強調感がなくなり・・・元々はその強調感が好きでしたが、今では最低音まで伸び伸びと且つ、量感ある重い音が出ています。
2WAY+スーパーツイータの構成の為、最終調整でシステム上の弱みであった(らしい)、中域の厚みを出す事にケンリックサウンド様でかない苦労され、納品にも時間が掛りましたが、この部分は以前に比べピアノの音が丸く太くなりました。
決して鈍くなったという意味ではありません、リアルな方向に近づきました。おそらくボーカルを聞いたら一聴して激変が解るのかも知れませんが私は聞かないので。ピアノは解りにくいと思いますが確実に変化は解りました。
高域、低域、中域の変化点を説明させて頂きましたが、全体的には音の立ち上がり、立下りが速く、音の輪郭にエッジがあり、研ぎ澄まされた硬い高音や、やさしい高音、まろやかな中域、重みのある低音までエネルギー感が均一でレンジも広く、気持ちが良い方向に変わりました。
以前は、McIntosh C32、McIntosh MC40、Wadia21という組み合わせが中域を盛ってくれていてバランスがとれていたのかと思います。これで中低音リッチな録音と演奏を楽しんでいました。
それが、Octove HP300MK2、McIntosh MC40、Mark Levinson No.36+No.37Lに替ってワイド、フラット、ハイファイに傾向が代わったところに、そういう方向性にチューンして頂いたJBL S143が戻って来てくれて、今どんぴしゃです。全体のクオリティーが上がったので、ケーブル関係のグレードアップをしようかなと考えたりしています。
最後になりますが、ケンリックさんで仕上がったのを聴いた時よりも、我が家の方が音が良いような気が、、、我が家のは聴きなれた好きな音だからですかね?
とにかく結果に大満足です。大変お世話になりました。ありがとうございました。
以上
【ケンリックサウンドからのコメント】
川嶋様、このたびはJBLスピーカーのレストア並びにカスタムチューニングのご依頼、誠にありがとうございました。
昨年12月、川嶋様より「片方のスピーカーの音が全体に音量不足、低音は締まり、
アンプの接続を左右で入れ替えてみてください。アンプから左スピーカーにつながっているスピーカーケーブルを、スピーカー側で外して右スピーカーに、
結局、上記テストを行って頂くも、状況は変わらずということでスピーカーが異常であることは間違いなさそうです。部分修理ではなくて全体的なオーバーホールをお勧めしました。川嶋様の記憶では、過度の入力とか、
さて、一体何が原因でしょうか・・・。
いよいよ、問題のスピーカーが当社に到着して、一通り点検すると、175Ndホーン型ツイーターに大きな問題が起きています。元々、ダイアフラムのQを抑える目的で磁性流体がギャップに充填されているこのユニットは、経年変化でほとんどの個体に訪れる問題点を抱えています。砂鉄がオイルに溶け込んでいるような物質である磁性流体から、油成分だけが揮発して砂鉄のみが残り、マグネット内で固着します。川嶋様の175Ndには、見事に両チャンネルともにこの現象が起きており、もはやダイアフラムは振幅の余地すらありませんでした。
強力なネオジムマグネットに吸着する金属粉体は、ギャップ内部から通常の方法で掻き出すことは不可能に近いです。そこで、このマグネットの磁力をゼロにする脱磁作業を行うことに致します。丁寧に鉄粉を除去した後、再び着磁を行い、最後に適切な粘性の磁性流体を充填して、ダイアフラムを組み付けます。
修理そのものは、上記方法で完了しましたが、後は音質改善。
ウーファーJF228Hのエッジは、比較的厚手のラバー素材であるため、微信号に対するレスポンスが今ひとつで、楽器ごとの低域の音色が全て似通ってしまう傾向にあります。ロール高さを大きく持たせた特製クロスエッジ素材に交換、能率と再現能力を高めます。
肝となるクロスオーバーネットワークには、大幅にメスを入れます。エネルギー感に乏しい空芯コイルは、手巻きのファインメットカットコアコイルに換装。当然、インダクタンスはテストを重ねて決定します。抵抗はムンドルフM-Resister、コンデンサーにはSilver Z Capを用いて、純正品から大きく変更した回路にて組み直しを図ります。
結果、ワイドレンジでメリハリがあり、抜けるようなガッツあるJBLサウンドが得られました。全体の費用としては40万円を超えていますが、良い方向への変化の度合いは費用以上に効果が上がっています。冒頭の動画でも、川嶋様のお喜びの声が、その代わり映えをうまく伝えていますね。このショールームでお聴きになった音よりも、ご自宅で聴かれた音の方が、さらに良かったとの印象。それは私たちにとっても喜ばしい結果です。本来の場所で存分に能力を発揮しているという証ですから。
川嶋様、このたびは誠にありがとうございました。