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2020年5月9日土曜日
お客様の声 兵庫県・山田様 フォーカスの合う音 JBL 4343BWX レストアとアップグレード
【お客様のコメント】
きょう午前、無事に到着。SGムービングご担当者お二人が手際よく搬入。行き届いた梱包から現れたご本尊の仕上がりにただただ「喜びと脱帽」。
見事なお仕事です。
さっそく結線と置き場所の微調整。ご提案いただいた(スタンド底面に貼る)家具スベール、いいですねえ!!!滑りもよく微調整もラクラクです。
ネットワークコンデンサーも入れ替えていただいてもらっているので本来はフルレンジ入力で試聴すべきなのでしょうが、我が家の環境は「バイ・アンプ」なのでそれでの音出しです。
まずは「DENON AUDIO CHECK SACD」
〇チャンネル・チェック
〇位相チェック
全く問題なし!
冒頭の「チャンネルチェック!」というアナウンスで、その声質に只者でない片鱗を感じました。声帯のぬくもり迄まで感じさせる実体感。
デモンストレーション音源をひと通り聴いての印象は
「奥行の深さが格段に伸びて居る。」
「超ワイドレンジなのに柔らかさが素晴らしい。」
ステンレスホーンの効果でしょうか?もちろん高い音域の「雑味感の無さ」はすぐに耳にたったのですがウーハーの切れも各段にアップしてますね。
これまでアドオンしていたスーパーツイーターの必要性が全くありません。
時代を超越したJBLの凄さ、そしてそれを活かしきる御社の技術力に改めて感服しております。
これからジックリ楽しんでいきます。
ということで喜びに満ちた到着報告でした!!
兵庫県 山田
【ケンリックサウンドからのコメント】
山田様は音楽大学で声楽を学び卒業後放送局に就職、ディレクターとして音楽番組を中心に数多くの番組制作に関わられました。定年退職後は関西の多目的ホールの支配人に就任。コンサートなどの催事を陰から支えておられます。
当社とは、2012年からのお付き合いだと記録しています。ネームプレート固定金具や、改造版 DCX2496 フルデジタルチャンネルデバイダーをオンラインでご注文頂いたことがあり、ムラタのスーパーツイーターを加えた3WAYマルチとして、この頃よりJBL 4343BWXをお楽しみになっていたのだと伺っていました。
その後、2017年に4343アッテネータープレートの問い合わせを頂戴しました。かつて山田様がアッテネーターを交換された際、シワになってしまったこのアルミプレートを単体で購入されたいというご相談です。当社では、キャビネット新品仕上げにするレストア作業時、オプションとして新品プレートの提供は行うものの、単体での販売はしていない旨をお伝えしたところ、レストア依頼を考える時期が来たときには、また相談します。というお返事でした。
そして今年の1月、いよいよ時期がきたとのことで、本体ごとお預かりしてオーバーホールを実施する運びとなりました。当初は項目を絞ったご希望の内容に沿って進める予定でしたが、私が電話でカスタムアップグレードの素晴らしさ、音の変化の度合いについて熱意を持ってお薦めすると、専用ウォールナット総無垢スタンドのご注文と併せて、フルでスピーカーカスタムまでされる決心に至ったのです。(今回の実施内容にほぼ近い販売商品ページはこちら)。そのときの様子を後から振り返り、以下のようにコメント頂いています。
「お電話でホーンの交換を勧められたときは正直悩みましたよ。良くなることは全く理解出来ていましたがね。でも思い切ってお勧めに従って大正解でしたよ。ほんまに一生モノのクヲリティーですもん。改めて感謝申し上げます。」
ステンレスホーンの設計に当たっては、センターイコライザーがダイアフラムを固定する際、無駄に押さえ込みダンプして振幅時にストレスが生じないよう、マグネット側トッププレートの形状に対してより最適にすべく、純正075とはイコライザー縁の傾斜角を変更しております。結果、能率も上がり、2405と比べてはもとより、純正の075ホーンと比べても、f0から高域特性まで改善しています。
低域のキレについては、もちろんツィーターの改善効果による影響もありますが、2231Hウーファーのボイスコイルへ特別な条件と時間で正弦波電流を流し、方向性矯正を行っています。
この時代のJBLユニットは例外を除き、基本的にアンプのプラス側を、ユニットのマイナス側端子へ、アンプのマイナス側をユニットのプラス側へ結線する方が、正方向の位相信号に対して、良好な鳴りを示すわけです。
4343の場合、唯一ウーファーだけが、良好な結線とは逆の接続、つまりプラスがプラスへ、マイナスがマイナスへ繋がっています。ただし、LCネットワークを経由して各ユニットは動作する仕組み上、システムとして示す、いわゆる位相は回転を経て以下のようになっています。
ツィーター(2405)・・・負
スコーカー(2420)・・・正
ミッドバス(2121H)・・・正
ウーファー(2235H)・・・負
空気合成上の相対位相関係としては上記の並びが最適で正解です。ただし今回、2405スリット型ホーンから、075タイプに変更していることでホーン長・形状が変わり、それに伴い良好な相対位相は「負」から「正」へと変化するため、意図的に「正」になるよう結線を入れ替えています(後述の反転再着磁を行った上で)。
上記の相互位相を保持したまま、良質方向へとウーファーを導く方法は二つあり、
(1)マグネットの再着磁を、本来とは逆方向に行うことでS極とN極の関係を逆転させる(標準はセンターがS極)
(2)前述のボイスコイルへ特別な条件で正弦波電流を流し、方向性矯正を行う
実は、2405については今回サービスで”反転”再着磁を行っています。ウーファーについては、(2)の方法で矯正を果たしていますので、低音の挙動が以前とは、まるで変わっているのです。
それに加えて交換したコンデンサーを含む、全てのネットワーク素子、とりわけ巻き線構造になっている、コイル、コンデンサー、抵抗に至るまで、リード線のどちら側からアンプの+信号を通すかによって、音質良否が決まっており、これを一つ一つ正しく揃えることが肝要です。JBLでは製造時にこれら見極めは行っていません。当社では、これらネットワーク素子の極性統一に加えて、単線(純銀単線などを用いる場合)の極性をも正確に揃える作業工程を遵守しています。これこそが、音作りの神髄とも呼べます。
山田様からのコメントにある、
> 「奥行の深さが格段に伸びて居る。」
> 「超ワイドレンジなのに柔らかさが素晴らしい。」
の印象が的確だなと感じたのは、これら一連の実施作業がもたらす効果が、正に引き出しているところだからです。
山田様、このたびは誠にありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します。
後日頂戴した【愛機JBL 4343Bの「退院後」初鑑賞】レビュー
ヴェルディ"アイーダ"、テバルディ、ベルゴンツィ、シミオナート、カラヤン・ウィーンフィル他
1959年9月の録音。多チャンネル録音など夢またユメの時代。その時代に、例えば一幕二場の様な複数の音響空間なんていうのは至難だったろう。今だったらメインホールの音を先取り、それに合わせてサブの音を別のトラックに収録。あとで合わせる。
マルチレコーダーも無いこの時代はそんなこと出来ないからメインホールのゾフィエンザールと巫女たちの合唱が居るもっと"お風呂場の様な音響"の空間を「セーノぉ!」と一発で録り切っている。しかも今の時代の耳で聴いても素晴らしい仕上がりで。
メインホールとサブホールは当時まだ珍しかったテレビモニターで結び、カラヤンはヘッドホンをかぶりながら指揮をしたそうです。これ、今なら当たり前ですが当時は破天荒なことだったそうですな。
この録音は演奏の素晴らしさで不朽の存在だが、当時まだ珍しい複数の音響空間(スタジオ)を結んで多彩な空間表現を実現した録音としても名高いんです。ステレオならではの空間表現、その中で計算されつくした登場人物の動きの演出。ストーリーに即した空間表現によって迫真さを増した音楽は聴き手をドラマの真っ只中に誘い込みます。
この大規模なグランドオペラを本番一発勝負!しかも"たった"18本のマイクでダイレクトの2chステレオで録り切っている。ディレクターであるジョン・カルショーのイメージが明確なこと、それを理解し具体化出来る腕を持ったエンジニア、ジェイムス・ブラウンの創意に満ちたテクニック。
そしてそのプラン全てを理解し、求められる芸術上での課題に完璧に対処したバトンで歌手とオケとコーラスを統率したカラヤンの音楽、正に"三位一体"の組み合わせが生み出した稀代の傑作アルバムであると思う。
この録音は使えるマイク(ミキサーの入力)が少ない故に計算され尽くしたアレンジによって得られた素直なステレオ空間がシステムの能力を試してくるんです。与太なシステムでは音が団子になったり濁ったりで単に古い録音、で終わります。
しかし、ケンリックサウンド・クヲリティーでのレストアとアップグレードにより素晴らしく調整のピントが合ったシステムではシュターツ・オパーが目の前に現れます。