2011年4月7日木曜日

ケンリックサウンド技術情報第15回 ボイスコイル断線修理その2

こんにちは技術担当の河内です。
前回に引き続きスピーカー断線のお話です。前回第14回の断線原因はリード線部の接触不良でしたが、今回の原因は過大入力による焼損のお話です。

どんなスピーカも許容入力のワット(W)が決まっております。しかし何かの原因で許容入力を超えた過大入力が入力されますとスピーカーのコーン紙を駆動するコイルが発熱の為に膨らんだり、熱で焼き切れます。実際に焼損した例でご説致します。

これは15インチウーファー2235Hの場合です。直径が大きいですがコイル部分が過大電流により発熱してコイルボビンが膨らみその後無理やり駆動したのでボイスコイル外周部がマグネットにこすれて巻き線の絶縁膜が剝がれて銅線が剥き出しになって短絡している事が見てとれます。この場合は音は全く鳴りませんでした。


ボイスコイルの内周部が発熱により膨らんでマグネットに擦れた痕跡があります。


この2235Hの場合は発熱時間が長かったのでボイスコイルの接着が剝がれて線材がバラバラになってしまった例ですが当然音が出ませんでした。


これはスコーカーLE5の例です。
直径は小さいですが、同じ様な症状でコイル部分の発熱によりボイルコイルの膨らみがあり巻き線の絶縁被膜も熱で溶けてしまいコイル部分が根元でシュートして全く音が出ませんでした。


これも同じくLE5の例ですが、発熱によりコイルが断線しております。


これらの防止策と致しましてはスピーカーの許容入力以上の音量で鳴らさない事と音源の入力切り替えをする場合は不用意に大音量で鳴らさない為にも必ずメインボリュームを最小に絞ってから行う事と、アンプの接続を繋ぎ変える場合にはアンプの電源を最初に必ず切ってから作業を行ってください。作業が接続完了したらボリュームを最小にしてから一番最後にアンプの電源を入れてゆっくりボリュームを上げてください。特に高音帯域用のツィーターやスコーカーは巻き線も細く少ないパワーで焼損し易いのでご注意ください。

不幸にもスピーカーが上記の様な症状になってしまった場合はリコーン修理が必要になります。最近ビンテージユニットに関しては純正のリコーン部品が入手困難になっている物をありますが、お困りの場合は一度是非ご相談ください。

ご連絡をお待ちしております。