今回のお客様は都内のK様です。希少なJBL4350 初期型ホワイトコーンモデルをお買いあげ頂きました。去年末にお問い合わせを頂き、搬入までの打ち合わせを重ねて、ようやくこの4350が保管場所のアメリカから着荷した一部始終のレポートをお伝えします。 初めに、右の動画は作業完了してテスト再生を行っている様子です。私を含めスタッフ3名で伺い、チャーター便のドライバーと共に4名で木枠ごとK様のご自宅に運び入れ、開梱から設置まで完了させました。 | 動画が表示されていない方はFlash Playerをダウンロードして下さい。 |
ここより下は、時間をさかのぼり順を追ってレポート致します。
アメリカはシカゴよりほど近い工房にて職人が丁寧にクレート(木枠)梱包致します。重量約120kgのJBL4350が2本、海を越えて安全に日本へ届けられるようにするためには、頑丈な木組みにするのが最も有効な方法です。日本では梱包に使われる素材に関する規制はいくつかの諸外国に比べて緩いことと、アメリカからの航空便送料は日本国外に輸出するときのそれと比べて安いため、重量が多い木組みでも問題ありません。しかし、それらが問題となってくる場合、例えばフランスへ輸出するJBL4344は、強化ダンボール梱包という方法を選択します。
グリルと音響レンズは装着して梱包します。
ビニールにて覆い囲み・・・
ダンボールでバッフルとキャビネット角を保護すると共に、ラップ巻きにします。
航空便で成田空港に到着した後は、いよいよチャーター便でお客様宅前に商品が届きます。今回は2本の4350がセパレート梱包で届くようにしましたが、輸送費用の軽減という観点、あるいはクレート業者によって、2本を1梱包にする場合もあります。その場合は総重量が330kgを越えてきますので、トラック内で木枠解体して商品を運び出す以外に方法がありません。セパレート梱包の今回は片側ずつ木枠のままお客様のお部屋まで搬入しました。4人で運び入れますが、木枠の重量を含めて200kgほどありますので、単純に一人50kg負荷ということになります。普段から慣れていない場合はかなりきつい作業となるでしょう。
まずはインパクトで木ねじを取り外し、蓋に当たる面のパネルを開きます。
こちらは地道にドライバー作戦。
4350が顔を出しました。
次に、4350の袴を下にして、天地を本来の関係に戻します。
中身を上手くスライドして木箱から引き出します。
ラップとビニールを取り除けば、いよいよJBL4350とのご対面です。
どこにも問題が起きていないか、良く見渡します。そして、無事に姿を現しました。
正確に組み上げられたクレートも、この4350のキャビネットをフル・リビルトした職人の手によって作られたものです。この木箱だけでもゆうに、4343、4344と同じだけの重量があります。
片側の4350を設置致します。お客様とのご相談で、ドライバー・ツィーターは内側構成に定めました。左右の壁がスピーカーと隣接してしまうのは、数々の大型スピーカーをお持ちであり、部屋のレイアウトはそれらとの兼ね合いで決めざるを得ないことが理由です。
袴とスタンドの面合わせをしています。
パワーアンプ、Mcintosh MC500を2台ラックに格納します。プリアンプはMark Levinson LNP-2Lです。
チャンネルデバイダーはAccuphase F-20です。
接続のチェックをしています。
無事に設置完了して、私が写真撮影をしている様子です。
どうにか収まり、ほっと一息。音だしも問題ありません。低域がやや硬く感じるのは、エッジとスパイダーが新品ということに起因します。エージングは積極的に行って頂ければ徐々に思い通りの音を奏でてくれるようになるでしょう。
マッキンのブルーアイズは相変わらず美しいですね。
K様は数々の名機をお持ちの方です。しかし、ここは別宅のため写っているコレクションはほんの一部とのことです。恐れ入りました。
JBLパラゴンです。ここからの眺めも美しいですね。パラゴンの上にはNakamichi 1000ZXLが置いてあります。
Ampzilla 2000とMcintosh MC2500も鎮座しています。
ちょうど4350に対峙する側がこちらです。
JBL4344MK2とJBL4520BK、HL88蜂の巣ホーンもありました。中央にはエレクトロボイスの76cmウーファー。
いかがでしたでしょうか?JBL4350初期型ホワイトコーンモデルがアメリカより海を渡って、お客様のリスニングルームへ届く流れがお分かり頂けたかと思います。また、数ある貴重なシステムを好みに応じて聞き分けられる環境は素晴らしいですね。
下記は、半日に及ぶ作業を終え、お客様にお送りしたメールの内容です。当方よりスピーカー購入を検討されている方には、安全・安心してお買い求め頂けるように、どのようなスタンスでお客様とお取引しているかを知って頂きたく思います。今後も4350をはじめ、数多くのJBL大型モニタースピーカーを取り扱っていく予定です。よろしくお願い致します。
K様
こんばんは。
本日はお時間を取らせてしまい申し訳ありませんでした。
大切なスピーカーを慎重に扱わせて頂くために、
慌てずにセッティングしたつもりです。
また、お気遣い頂き御礼まで頂戴しまして、
誠にありがとうございました。
去年末にお問い合わせを頂き、
ご相談・打ち合わせ期間も含めて本日までの間、約3ヶ月。
途中色々とご心配だったこともあろうかと存じますが、
高額かつ遠方のアメリカから届く荷物でもあり、
出来る限り安心してお待ち頂けるように、
その都度画像も交えての経過報告・対応させて頂きました。
ようやく本日無事に納品を終え、音出しも完了しまして、
K様と同様に、私もほっとしています。
このスピーカーはご存じのように、
ユニット、ネットワーク、コンポーネントは全て純正オリジナル、
そして、エンクロージャーはオリジナルの精度を超えたフル・リビルト品となっております。
2230Aのホワイトコーンはそのままに、エッジ、スパイダーは純正新品交換済ということで、
言うなれば、中古オリジナルの良さを併せ持つ新品商品であります。
初めはやはりエッジとスパイダーのダンプが効いており
硬質な音色となっていることと思います。
しかし、この商品が世に出た1973年から30余年の歳月を経て
今、K様宅でようやく4350が目を覚ましたも同然です。
これからゆっくりと環境に順応しながら、朗々と鳴っていくことと思います。
その過程も含めて是非、お楽しみ下さい。
今秋、アメリカよりこの4350の制作者が来日する暁には、
ご迷惑でなければ私も含めて、またお招き頂けると幸いです。
再び貴重で有意義な時間となることを楽しみにしております。
本当にお世話になりました。
今後ともよろしくお願い致します。
JBL43Freak 店主・細井
http://JBL43.com
最後に、K様より感想を頂戴しましたので掲載させて頂きます。
昔からの私の憧れのスピーカーである4350、
しかも国内で入手が難しいホワイトコーンの初期モデルをこの度、
手に入れる事が出来ました事は大いなる喜びであります。
プロの職人さんの手によるエンクロージャー製作にて、
品質、完成度がオリジナルを上回る程の出来栄え!
との事にてとても心地よい音を再生いたします。
もともとマルチアンプ駆動ですので、チャンデバにて
高域・低域のバランスも絶妙にコントロール出来ますので
その変化を楽しめますし、何よりもその堂々たる存在感が素敵です!
今後更にエージングを重ね、一層良い音になってゆくかと思うと、
とても楽しみです。 今回は良いチャンスに恵まれまして、
色々とお世話いただきました関係者の方々に、
この場をお借りして改めまして御礼申し上げます。