2021年4月11日日曜日

お客様の声 島根県・吉金様 JBL 4338 435Al ネオジウムドライバー、ダイヤフラム断線修理







【お客様のコメント】

JBL4338に搭載されているミッドレンジのコンプレッション・ドライバー435ALの修理を昨年12月にお願いしまして、断線等の修復をして頂き1月末に戻って参りましたが、完治とはならず再修理をお願いする事となりました。

その際のケンリックサウンドさんの対応についてですが、とても迅速でかつ丁寧に対応して頂きたいへん嬉しく思いました。

修理箇所、内容についても逐一添付写真も添えて丁寧に教えてくださり、かなり長期間の修復ではありましたが、安心してお任せする事が出来ました。

到着から一週間、組み込んで鳴らしておりますが問題なくご機嫌に鳴っています。故障前より良くなったんじゃないかと思うほど、クリアでイキイキとした4338の音に、毎日レコードを取っ替え引っ替え掛けて楽しんでいます。本当にありがとうございました。



【ケンリックサウンドからのコメント】

長らくお待たせ致しましたが、無事に鳴っていて音も以前より良くなったと伺い安心致しました。

今回の修理を振り返り以下にまとめたいと思います。

お預かりしたJBL 435Alは左右とも分解して内部点検を行いました。まず懸念対象であったネオジウムマグネットは錆対策がなされた後の時代の仕様であり問題はありませんでした。次に肝心のダイヤフラムです。確かに音が出ないというご指摘があった側はボイスコイルが断線しております。断線側はご自身で開けて修理を試みたと伺っておりましたが、ダイヤフラムに変形痕があるのとダイヤフラムのリード線取り出し付近に半田こてによると思われる熱変形やダイヤフラム裏側も熱変形の影響あります。

断線個所をこのまま修理可能か?の判断は微妙なので少し時間がかかります。半田こてを当てる前でしたらほぼ確実に修理は出来る実績はありますがもしどうしても不可能な場合にはサードパーティーのダイヤフラムに交換になります。その際には音色が変わるので左右同時の交換になります。理想はこのまま純正のダイヤフラムを修復出来る事を目標に進めますが、判断するには断線修理を進めた上での結果によります。

ダイヤフラムの断線状況を詳しく確認した結果、アルミのボイスコイル巻き線と端子に絡めるリボン線の接合部が劣化により導通がなくなっていました。当初の診断で+側の断線であったので、+側のリード線を交換してアルミボイスコイルと導電修理を行いました。この時点で導通抵抗値は正常値に近い4.4Ωでした、その後安定度を確認する為に1ヶ月ほど様子をみると徐々に抵抗値が上昇して5Ωになっていました。この原因を確認したら今度はマイナス端子側のボイスコイルとの接合部の劣化が認められたのでこの個所にも導電修理を行いました。

マグネットギャップ内に充填する磁性流体が導通ペーストを侵食して新たな問題が発生するという事実を掴みましたので、対策品にて対応することで完全修理ができました。

一度お納めした後に問題が再発して吉金様にはお手数をおかけし、長らくお待たせすることになりましたが、十分な対策を施し、さらに高い精度で組み直すことができたため、工場出荷時よりも良い音になったという結果が生まれました

吉金様、この度は誠にありがとうございました。今後とも宜しくお願いいたします。