JBLが43XXスピーカーに用いた多種の木材種類と製作工程を忠実に再現
左から、イエローポプラ、カバ材積層合板、パイン(米松)
1970年代に大ヒットした4343をきっかけに、日本では43系モニターのブームが訪れます。アメリカ製品でありながら、今日その生産国であるアメリカでは、ほとんど4343を目にすることはありません。4344にいたっては、ほぼ日本向けに出荷したスピーカーと言っても過言ではなく、こちらアメリカではその存在すらあまり知られていないのが現実です。
さて、当時JBLのユニットに使われたマグネットは、原材料のコバルトが入手困難になり始めた時期、アルニコからフェライトへと移行します。同じく、コストの面から、そして音質配慮の点から、キャビネットに使われる木材も変化を遂げています。
この木材の違いについて詳細を把握されている方は、かなりの43モニターフリークと言えるでしょう。キャビネットはウォールナットのツキ板で覆われ、内部構造については分解しなければ判断困難だからです。
JBL 4320、つまり43シリーズが生まれた1971年、キャビネットは全て、3/4インチ・カバ材積層合板から構成されていました。74年に4340が登場すると、キャビネットは全て、1インチ・高密度パーティクルボードに変わります。
バッフルは、積層合板、他部位にはパーティクルボードというモデルが4344などです。その他下記表にまとめました。
3/4" Baltic Birch | 1" H.D.P.B. (1インチ・高密度パーティクルボード) | Brace (補強材寸法) | |
4315/B | All 3/4" H.D.P.B. (全て3/4インチ・高密度パーティクルボード) | 3/4 x 2 | |
4320 | All(全て) | None(未使用) | Not sure (未確認) |
4331/3 | Baffle(バッフル面のみ) | All other(その他全て) | Varied(多種) |
4340/41 | None | All | Not sure (未確認) |
4343/B | None | All | 1 x 2 1/2 |
4344 | Baffle | All other | 1 x 3 |
4345 | Baffle | All other | 1 x 3 |
4350/B | All | None | 1 1/2 x 2 1/2 |
4355 | Baffle | All other | 1 x 3 |
ケンリックサウンドで製作するリプロダクトは、JBLで使われたあらゆるパーツ、素材、製作工程も、より忠実に遵守、そしてクオリティでは凌駕します。ツキ板、バッフルカラーの変更が可能というのもカスタムオーダーの利点です。
Brace(内部補強材)についての秘密はまた次回・・・。