2018年5月17日木曜日

スピーカーレストア業界への就職を考えている学生からの質問



当社へは日本国内からのみならず海外からも問い合わせが届きます。

スピーカーやアンプの修理にまつわること、あるいはYouTubeチャンネルのこと、オーディオルームの設計や機材選定などについても。

今回寄せられた質問は中でも珍しく、将来オーディオ業界、それもスピーカーレストア・開発の業務に携わりたいと考えて勉強に取り組んでいる学生からの内容です。熱意を持って目指してもらいたいと願いお答えしました。同じように考えている人たちへの参考になれば幸いです。

【学生から寄せられた質問】

僕も将来はこのような仕事につくために進学校に入学して勉強しています。 前にプロフィールを見せていただきましたが、就職するためには美術学校の方がいいのでしょうか。アドバイスが欲しいです。


【ケンリックサウンドからのコメント】

他の会社の事情は分かりませんので、あくまでも当社における考え方からアドバイスいたします。技術や専門知識は、予め学校で学ぶようなことではなく、とにかく現場で体得するものだと思います。

未経験だとしても、吸収力が高い人はすぐに慣れて自分のものにします。人によって向き不向きの成否を分けるのは「冴えたセンスと察しの良さ」につきます。

美術的な感覚で製品を取り扱ったり、技術的見地で症状を分析したり、論理的思考で物事を整理するというのは、授業で教えてもらうようなことではなく、自らの感覚で認知・行動していくものです。その「センスと察しの良さ」を磨くためには、とことん良いモノ・体験・人、を肌で感じる経験値を増やすことです。

特にどんなジャンルにおいても、一級品と呼ばれるものは、直接見て、触って、感じ取って、自分なりにその良さを分析する時間が大切です。美術館やコンサートへ足を運んだり、秘境の地を訪れたり、陶芸作りを体験してみたり・・・

ただ漫然と楽しむのではなくて、それら背景の歴史を調べたり、より高い質を求めたいと欲する探究心も要です。

このような感覚(センス)が優れている人には、どの世界で仕事をしても、あっという間にコツを習熟してしまう力があります。

学生時代に力を入れておきたい科目を挙げるならば、日本語(国語)です。正しく美しい言葉を意識的にツールとして操る重要性は、社会に出れば絶えず求められています。上司から降りてくる作業指示、お客様から依頼を受ける仕事内容、微妙なニュアンスも含めて、いかに取りこぼさず、間違いなく応えることが出来るかということ。

相手が求めている真意を汲んで、気の利いた報告や返答をするのは、ごく当たり前のようですが、ちょっとでも入り組んだ内容になると、たちまち勘違いや間違いを起こす人が多いです。

上記を一生懸命に努力して継続できるような人こそが、当社では素晴らしい作品を生み出すことが出来ます。