2013年3月7日木曜日

ケンリックサウンドに最高音質のDJ環境ができます CDJ-2000 nexus+Xone:DB4





このたび、ケンリックサウンドに最高音質のDJ環境ができます。今回の機材選びについてお伝えしたいと思います。

DAコンバーターには、JBLなどとの相性で音が大変気に入っているCHORD QBD76HDを用い音色作りの核とすることが前提でしたので、フルデジタルシステム以外に考えていません。よって、デジタルミキサーの内蔵DACは使わないもののデジタル処理だけであっても出来る限りWAVソースの品質劣化を抑えるという条件の下、機材選びを行いました。最終的に、Pioneer CDJ-2000 nexusを2台と、ミキサーは、ALLEN & HEATH Xone:DB4に決定しました。

CDターンテーブルは音質面の優位性で他に候補もあったのですが、ここは使い勝手とのバランスを重視してデファクトスタンダードなパイオニアCDJに落ち着きました。ただし、デジタルミキサーは実際に聞き比べると機器により音質には雲泥の差があったため、やはりアレン&ヒースのDB4が最も劣化を抑えたミックスができるミキサーだと判断して導入に至りました。

大切なことは、デジタルミキサーを使うということは信号がDSP処理されるため、もとソースの音質が悪くなることがあっても、決して良くなることはないということです(オリジナル性保持という点において)。つまり、音質の良いミキサー選びというのはすなわち“できるだけ音が悪くならない”ものを聴き選ぶということです。

比較試聴に先立って、事前にウェブ検索してある程度評価の情報を得ようと思ったのですが、ピュアオーディオの世界とは異なり、各メーカーフラッグシップの価格帯商品であっても、DJ機材に関してはユーザーの音質比較レビューがウェブ上に一切ないということに驚きました。使い勝手やEQの効きについてはさんざん意見が飛び交っていますが、肝心の音の質について合理的な比較意見は、少なくとも日本国内の掲示板やショップレビュー、ブログには皆無なのです。抽象的に「音がいい」っていう評価は機器ごとにいくらでもありましたが・・・。

候補は、Pioneer DJM-2000 nexus、DJM-900 nexus、そしてALLEN & HEATH Xone:DB4です。音質面にこだわった設計のDENON DN-X1700にも惹かれましたが、現場への導入率が著しく低い、というか見たことがありませんで残念ながら候補から外しました。DJM-2000 nexusと、DJM-900 nexusは音質に関わる設計は同じであるためシンプルなDJM-900 nexusとALLEN & HEATH Xone:DB4に絞り込みました。

比較試聴は、今回の目的であるデジタルアウトを使うということ、そしてDA変換前の音の本質を見極めるためミキサー内部DACを経由しない方法で行います。ポータブルプレイヤー兼DACであるColorfly C4にデジタル入力して、こちらの内蔵DACでコンバートされた音をヘッドホン(SENNHEISER HD25)で聞き比べます。基準はColorfly C4に納めた同じWAV音源。ミキサーを通した音がどれだけ劣化せずに聴けるかというポイントです。もちろん、CDターンテーブルからのデジタルアウトをミキサーに通さず直接Colorfly C4に入れて音も聴きました。この程度の劣化であれば許せるかなと感じたのが導入に至ったCDJ-2000 nexusです。問題はデジタルミキサーでした・・・。

音質は必ずしも、カタログスペックの善し悪しとは比例しないということは、ピュアオーディオもDJ機材も同じです。

例えば候補の一つだったPioneer DJM-900Nexusは、スペック上では優れています。この機器、デジタルで受けとったPCM信号は全て24bit/96kHzにDD変換され内部処理されます。そして最終的にコアキシャルアウトの際も24bit/96kHzであり(ダウンコンバートされた16bit/48kHzも選択可)、DB4の後発だけあってDB4のスペックより勝っています。(全高調波歪は0.004%のDJM-900Nexusに対して、DB4が0.003%)一方のDB4は内部処理が24bit/48kHz、そしてコアキシャルデジタルアウトも48kHz固定です。どちらもCDJからの44.1kHz信号に対して非整数倍アップサンプリングとはいえ、デジタル・アッテネーターで減衰させる際のビット落ちを考慮すればサンプリングレートは高い方が有利です。従って、試聴前はDJM-900Nexusに軍配が上がると信じていました。

ところが現実は違います。あまり書き連ねるのは控えますが、本当にあきれるほど違います。

アナログミキサーでの音質差は、使用されているパーツのグレードによってほぼ順位が決まるものの、DSPを経由させるのみのデジタルミキサーにおいて、DA変換前の同一条件であっても、ましてやEQもエフェクトも一切使わず、ただPCM信号をパスさせただけに関わらず、完全に音質に差ができています。DJM-900NexusはADコンバーターのビットレートが32bitという点がウリですが、コンバート前の音質が重要であり、これでは意味がないと感じるほどでした。

ちなみに上記2機種はAD変換の品質も確認するため、CDJのアナログアウトも使用し、ミキサーでのAD変換後の音質もC4にて比較しました。結果、やはりDB4が優れていました。

DJM-900nexusの実売価格が、198,000円。DB4の国内実売価格が、268,000円。その価格差70,000円としても、どちらもフラッグシップ機であり、これほど音の結果に差があるとは想像していませんでした。

さて、核となる部分は上述のCDJとミキサー、そしてDAコンバーターにはCHORD QBD76HDですが、DACに入れる手前で、DB4からのデジタル信号はSUNVALLEY SV-192Sと、ルビジウムジェネレーターAntelope Isochrone 10M + Trinityにより4倍の24bit/192kHzに引き上げられます。音の粒立ちがシルキーになるのです。メインのスピーカーはKENRICK SOUND 4354、または、Rey Audio RM-6Vのケンリックエディション。全てのユニットは再着磁を施し、キャビネットの仕上げはウォールナットバール・サンバースト塗装です。アンプはMark Levinson LNP-2 (Burwen) + No20.6か、 No32+No436の組み合わせです。

これは間違いなく最高に音が良いDJ環境になるでしょう。