私がSONYのプロオーディオ時代に録音スタジオ向けデジタル48チャンネルレコーダーの開発をした話しが、2021年4月号の業界誌『サウンド&レコーディング』別冊付録にSONYプロオーディオのヒストリーとして掲載されました。
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私が開発したのは1988年11月に発表されたデジタル48チャンネルレコーダーです。背景は1983年にCDが発売されて、最初の頃はCDの音源はアナログマルチ録音されたマスターテープからデジタル変換されてました。当然スタジオ録音のマスターテープもデジタル化が求めてられて1984年に24チャンネルデジタルレコーダーが発売されました。
やがて録音現場からは24チャンネルでは不足して、更にチャンネルの余裕がある48チャンネルデジタルレコーダーを切望されていました。
このデジタルレコーダーのテープ幅は1/2inch、12.66ミリ幅に52トラックの録音を実現するには至難の連続でした。その開発経緯が記事に書かれております。その後、雑誌記事と同じ内容がSONYのWebに投稿されました。
https://www.sony.co.jp/Products/proaudio/
私が担当したデジタルマルチレコーダーの内容はチャプター3をご覧下さい。
https://www.sony.co.jp/Products/proaudio/story/story03.html
当初発売したPCM-3348はサンプリングレートは16bit、48kHz、44.1kHzでしたが、後に24bitにバージョンアップされたPCM-3348HRになりました。
http://www.broadcaststore.com/pdf/model/10728/PCM-3348.pdf
1988年11月3日 AESショウの会場に無事セッティング完了。いよいよ発表で緊張していた38歳の私です。
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1988年ロサンゼルスのプロオーディオ展示会のAESショウで初めて発表されましたが、一番嬉しかったのは、その会場にスティービーワンダーさんが訪れて、早速手探りで触り、操作感覚を確かめて、Good!! と言われたことです。私は操作感覚にこだわって開発しただけに嬉しかったです。その後、スティービーワンダーさんから、PCM-3348をお買い上げ頂きました。
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2015年5月に当社スタッフがソニーミュージックに乃木坂スタジオを見学した際に久しぶりにPCM-3348HRに対面して感激しました。
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この48チャンネルデジタルレコーダーはあっと言う間に世界中の録音スタジオに導入されて、CDの世界的普及に貢献出来たと思っております。既に32年前の事ですが、これらの開発経験が現在の当社の開発に生かせる事が出来て感謝の毎日です。
これからも、ユニークな開発にご期待ください。
河内秀夫