2013年5月12日日曜日

JBL L100 Century ウォールナット・キャビネット補修の手順

皆様こんにちは。今回ご紹介させて頂きますレストアは、JBL L100センチュリーのエンクロージャー補修になります。こちらの機種も人気の高い機種になりますが、少しでも往年の状態に近づけるために手をかけていきます。

まずレストア前の状態ですが、純正の突板(ツキイタ:希少性の高い美しい木目を持つ木材を薄く、約0.2mm〜1.0mmにスライスしたもの)の上から、さらに別の突板が貼られていました。前オーナーが装飾したものでしょうが、こちらの状態がよろしくないと判断し剥がすことにしましたので、一皮むき、JBL純正の突板を表面に出します。

意外とご存じない方もいらっしゃいますが、キャビネットは天然木で作られていますが、その素材は無垢材、いわゆる厚みがある板ではありません。チップボードに薄い化粧板が貼ってあります。無垢材は加工後も変化・変形が大きく、音の響きや作りの均質性にムラが起こるため、このような構造になっています

さて、下の突板を傷つけないように慎重且つ迅速にスクレイパーを用いて剥がしにかかります。



剥がし終わった状態は接着剤が全面に残っています。とてもやっかいな状態ですが、こちらも綺麗に無くさないと後の仕上げに影響しますので、取り除いてあげます。






そして、下の写真はその接着剤を落とし、ざっとペーパーを当てた状態になります。この段階だけでもうっとりしてくる木目の状態です。上品で材料選びのセンスの良さを感じます。写真だけ見ると良さそうにも見えますが、使用時についたであろう傷が残っていますので、丸くなった角と併せてパテによるキャビネットの補修を進めていきます。 つづく…。