両サイドから攻める際に楔を意識して仕事を進めました。
こちらの写真は手万力になります。長さにしておおよそ15センチ、直径が最大でおおよそ3.5センチあるかと思います。ジュエリーの制作時に重宝する道具ですが、ここに楔が使われています。先端で細かい加工するパーツなどを挟み、そのパーツを動かないようにするために、反対側に楔を打ち込んでいきます。そうすることで、手万力の先端がしまっていき、ヤスリ掛けの際の力が加っても、パーツが動かなく、動くかもしれないという余計な考え事をせずに、しっかり固定された状態で作業に集中することができます。
楔は使い方によって様々な効能をもたらしますが、今回は楔を打ち込む理由として、
・外向きに力をコントロールできる
・手が離せる
の2点が挙げられます。
楔はそのテーパーの角度により、小さければ、ゆっくり。おおきければ素早く力を掛けることができます。また、一度打ち込むとその場で固定できますので、力を加えたまま別の作業を進めることができます。
70センチ程度あるバックパネルの一辺になるべく均等に力を掛けるために3ヶ所に楔の代わりとなるヘラを打ち込みます。ヘラは厚み違いのものを揃え、薄いものから打ち込み、厚いものを後から打ち込んで力の掛け具合を調整しました。徐々に力の度合いをあげていくと、そのうちにボン!っといって攻めていた一辺と上辺か下辺のどちらかが一気に外れます。
後は反対側を攻めていけばパネルを外すことができます。
バックパネルの破損に繋がりかねない、慎重さを要する工程でした。
その後ユニットを取り外して完了。塗装した後の仕上がりが楽しみです。また、今後のレストアしていくパラゴンのネットワークの仕様についても、方向性がまとまってきたようなので音質につきましてもとても楽しみな点です!