お客様からオーバーホール依頼があったJBL 名機4343AWXはエンクロージャーのサンディングに工程を進めました。底は引きずった痕や、傷が目立ちます。角も潰れていますので、何度かセッティングの調整を行った跡なのかもしれません。時には水分を吸って膨らんでいたり、青カビに覆われていたりとその経歴は様々ですが、販売からの年月を考えますと今回の状態はまだ良い方かと思います。ただ、突板を破っている箇所はこれ以上の破損を防ぐために充填剤は欠かせません。その上にパテを盛って形を作っていきます。特に角の部分は慎重に仕事を進め、場合によっては一度に盛らずに何回かに分け、少しづつ盛っていきます。
パテがばっちり乾いた後に木肌の状態だけを気にかけ、あとは無心でグイグイ削っていきます。その後、ワックスを掛けて一段落です。非常にサラリとしたワックスで伸びもよく、木目にもしっかり浸透していきます。拭き取りも簡単なので余計な厚みを残さずに済みます。ただ、時間が立ちますと木目からワックスがはじき出されてきますので、そこは注意して時々様子をみて拭きとってあげることが肝要だと思います。
つづく…。